一周回ってレミオロメン

レミオロメンは自分が中学生の頃に「粉雪」でブレイクして自分も聴くようになった記憶があります。当時、近所のゲオで妹が借りてきた流行りのCDをパソコンにインポートして音楽を聴く生活を送っていた私は、レミオロメンの曲ももちろんプレイリストに入れて度々聴いていました。

最近、ひょんなことからAmazon music Unlimitedに1ヶ月だけ無料体験で入りました。せっかく入ったので使い倒そうということでいろんな曲を聴いていました。そこでレミオロメンを改めて聴いてみたところ、気づいたのは……レミオロメンの良さは中学生当時の自分がわかるものじゃない、アラサーになった今にこそ沁みるものなのだということでした。

レミオロメンの曲に特徴的なのは、ノスタルジックな叙景詩というところだと思います。レミオロメンの歌詞では、愛だとか夢だとかそういう心情だけを書き連ねているのではなく、風景描写が多い。でそこから想起される景色がどこかしら郷愁的であり、みんなそれぞれの大事な思い出とリンクするような気がする。

 

例えば「3月9日」とかですね。

砂ぼこり運ぶつむじ風 洗濯物に絡まりますが
昼前の空の白い月は なんだかきれいで見とれました
上手くはいかぬこともあるけど 天を仰げばそれさえ小さくて

なんか、見たことがあるような気がするどこかの風景が目に浮かぶんですよね。冬を抜けて、最近あったかくなってきたな~って頃にぼんやりしてて、そんなときに見ていたような気がする風景。こういうのはですね、たぶん中学生当時の自分にはなかなか理解できないですね。なぜなら子供の頃は毎日が新奇で、いつも目の前の景色に夢中で、こうやって何でもない景色をぽけーっと見ているという経験がまだあまりなかったからですね。しらんけど

 

「太陽の下」

ぼんやり日が落ちて 輝く星 太陽の贈り物
曖昧な地平線 その向こうでも人は営んでる
恋をしたりして 涙流したりして 音楽に乗せて 地球で踊るんだ

僕がこれで浮かぶのは田舎から出て一人暮らしを始めたあとの景色です。夕暮れの頃に外を歩いていて、少しずつぽつぽつと建物の明かりが灯っていく中で、あーこの明かり一つ一つに人がいて、みんなそれぞれ何かをしている、自分の周り以外にこんなにも多くの物語があるんだなぁと思ったときのことですね。大文字山から見た京都市街の夜景が目に浮かぶ。

 

「花鳥風月」

風がそよぐ電線の 影をまたぐ君の足
子猫みたい ドレミファ空へ駆け上がる

今思うと、電線の影って最近あんまり見た記憶がないなーって思いました。いずれこういう景色もなくなるんでしょうか。また、ここでは「君の足」とありますが、当時自分の場合はもっぱら「僕の足」ですね。

 

「小さな幸せ」

泣いて泣き疲れた夜は 誰かに心から甘えてみたいのさ
どんなに強く生きていくでも 優しさを知らずには眠れない
春の東京 月明かり 耳鳴りがするような静かな光
記憶の中の千本桜 花が満開

これは東京出てきた初期の頃の孤独感を思い出す。「耳鳴りがするような静かな光」は良い意味か悪い意味かわからんけど自分は負の感情とリンクしていて、東京はどこいっても人混みだらけやし、自然とか明かりとかキレイなはずものものは全部作り物に思えて、息苦しくて嫌やなぁとか思っていたときのことを思い出す。東京の月明かり、見てくれだけはキレイなようで、背後からは汚い人間のノイズが聴こえてくるみたいで、耳鳴りがする感じがする。そこで記憶の中の千本桜みたいな綺麗な過去の思い出に逃避する。当時しんどいけどがんばっていたなぁということを思い出す歌詞ですね。

 

 

さていろいろ引用してみたけど、やっぱり一番グッとくるのは「3月9日」ですね。これに関しては堀北真希が出てるPVが良すぎるというのも大きい。卒業式って、一旦誰しもが少しは過去を振り返るわけで、ここで別れと希望がごちゃ混ぜになっていて、一番ドラスティックに感情が動くイベントの1つだなーと思うわけですね。

しかし……今になっても自分には、「3月9日」の歌詞から、春は感じても卒業式の雰囲気を感じとることができない……まだまだ浅いのか

なんかこういう、誰もが経験したことがあるような「景色」を想起させるような表現ができる人って、実は他にあんまりおらんなと気づいたわけですね。というわけで今、一周回ってレミオロメン、というわけなんですね。わかったように聴いていた中学生の頃は人生経験が足りなかった

ちなみに、今回レミオロメンに再発見したきっかけは、Amazon musin Unlimitedだったわけですが、レミオロメンはUnlimitedじゃなくても聴けるみたいだった。な~んだ